新しいシステムやサービスの相談を受けていると、「最初から全部入りでつくりたい」という話になることがあります。使う場面を想像すればするほど、あれもこれも足りないような気がしてくるのは、自然なことだと思います。
ラーメン屋で「全部乗せ」を頼んで、結局チャーシューを一枚残してしまう。あの感覚に少し似ている気がします。
気持ちはよく分かります。ただ、実際に使ってみなければ分からないことは、思っている以上に多いものです。頭の中でどれだけ丁寧に組み立てても、現場に置いた瞬間に見え方が変わることは珍しくありません。
まず、確かめられる形にする
大切なのは、規模の小ささではなく、何を確かめるために始めるのかが明確であることです。お客様が使ってくれるか。現場の負担が本当に減るか。続けられる運用になっているか。
この三つは、それぞれ別のタイミングで、別の形で答えが出ます。使ってもらえるかどうかは初日に分かることもありますが、負担が減ったかどうかは一週間、続けられるかどうかは一ヶ月経ってようやく見えてくる、ということも珍しくありません。だからこそ、最初から答えの全てを求めず、確かめる順番を決めておくことが大事だと考えています。
小さな仕組みでも、答えを一つ得られれば、次に進むための立派な土台になります。むしろ、小さいからこそ、うまくいかなかったときにすぐ作り直せるという利点もあります。
育てる前提でつくる
アイキューヴでは、最初の一歩をつくるときから、その先で育てられる余白を考えます。仕様を隅々まで固めてから着手するのではなく、後から形を変えられる部分をあらかじめ残しておく、という設計の仕方です。
使い始めてから見えてくる要望は、事前の打ち合わせでは出てこなかったものであることが多いです。だからこそ、最初の一歩は完成形ではなく、次の一歩を考えるための材料だと捉えています。小さく始めることは妥協ではなく、確かな一歩を選ぶことだと思っています。
遠回りに見えて、実は近道
小さく始めることは、時に遠回りに見えます。全体像がまだ見えていない分、不安に感じる方もいらっしゃいます。
それでも、最初から大きく作って後戻りできなくなるより、小さく作って早い段階で軌道修正できるほうが、結果として目的地には早く着くことが多いというのが、これまでの実感です。
