むかし、創業時の一時期を共にしたスタッフのことを、ふと思い出す機会がありました。ウェブデザインを担当してくれていた彼は、世間のことはまだあまり知らず、仕事の面でも、お世辞にも一人前とは言えない状態でした。ただ、素直で純粋で、どうしても憎めない、いいヤツでした。
「社長、これからはプロテインが売れますよ」
そんな彼が、どんな文脈だったかは思い出せないのですが、「社長、これからはプロテインが売れますよ」と言ったことだけは、鮮明に覚えています。脚がルパン三世のように細い彼が、です。突然何を言い出すねん、うち仮にもIT会社やぞ、としか思いませんでした。
シャンプーの在庫を抱えた社長
同じ頃、どこで知り合ったのかまでは記憶をたどれないのですが、同業なのに、シャンプーの在庫を大量に抱えている社長にも出会いました。当時はインターネットの黎明期で、ネット通販がぽつぽつ出始めた頃です。きっと、自分でも何か売ってみたくなったのだと思います。ただ、その時の私は「大変ですなあ」以上の感想を持ちませんでした。
一方の自分はというと、世の中の大きな流れと自分の興味も重なって、ヘルスケアに関心を持ち始めていた時期でした。
振り返れば、すべてはつながっていた
たらればは考えたくないのですが、今になって思い返せば、プロテインも、ネット通販も、ヘルスケアへの興味も、すべては一つの文脈の上にありました。スティーブ・ジョブズは、将来を見据えて点と点をつなぐことはできず、できるのは後から振り返って点をつなぐことだけだ、という趣旨のことを語ったそうですが、まさにそれを地で行く話です。
当時の私は、先入観が勝っていました。「うちはIT会社だ」という思い込みが、他人の発言や行動を、完全にスルーさせてしまっていたのです。
サングラスを外して、一旦受け止める
あの時、サングラスを外して、何事も一旦受け止めて深掘りする姿勢があれば、今とは違う景色が見えていたのかもしれません。だから今は、一見的外れに聞こえる話ほど、まず受け止めて、なぜそう思ったのかを聞いてみることを心がけています。突拍子もない一言の中に、次の時代の種が入っていることが、案外あるからです。
もし今、彼と話す機会があれば、サングラスを外して、次に来るものを聞いてみたいです。今度は、脚の細さではなく、予言の方を深掘りします。
