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会社の値段の大半は、帳簿に載らない価値だった

資産は少ないのに、買収額は大きい。その差額は、ブランドやノウハウといった「のれん」への支払いです。中小企業が意識したい、会社の値段の決まり方と守り方についての話です。

先日、ある飲食チェーンの事業買収をテーマに、「のれん」と会社の値段の決まり方を解説する動画(越水はるか弁護士さんの動画)の内容を知る機会がありました。報道された具体的な金額ではなく、そこから学べる考え方が、中小企業にも通じる内容だったので、まとめておきます。私は法律や会計の専門家ではないので、あくまで経営者としての感想です。

資産は少ないのに、買収額は大きい

動画の中で紹介されていたのは、店舗数はそれほど多くないのに、非常に大きな金額で買収された事例です。引き継ぐ資産(在庫、設備、敷金など)の帳簿上の価値は、買収額のごく一部で、差額の大半は、帳簿に載らない価値への支払いだ、という分析でした。

「のれん」とは、ブランドとノウハウの値段

この、帳簿に載らない価値のことを、会計では「のれん」と呼びます。ブランドの知名度、立地、行列ができる人気、レシピ、接客のノウハウ、海外のお客様からの支持。どれも貸借対照表には載りませんが、同じことをゼロから始めて、同じ水準に到達するには、何十年もかかります。つまり「のれん」とは、その時間を買うための値段でもある、という話でした。「ローマは一日にして成らず」ということわざがありますが、ブランドも一日では成りません。

中小企業が意識したい3つのこと

動画では、中小企業にも通じるポイントが3つ挙げられていました。

  • 意識して「のれん」を作る:単なる値引き販売は、誰でも真似できるので、価値が低い。指名買い、ファン、独自のノウハウといった、自社にしかない価値を積み上げる。
  • 会社の値段の決まり方を知る:純資産、時価評価、類似企業との比較など、評価の方法は複数ある。中小企業の実務では、利益に減価償却費を足した指標の倍率がよく使われ、売上の大きさより、利益の質と成長の余地が見られる。社長個人の支出が会社に混ざっていると、マイナス評価になる。
  • 法務を整えておく:ブランドは商標登録をしていないと守れず、技術は特許がないと保護されない。未払いの残業代のような労務の問題は、買収の調査で厳しく見られ、見つかれば、売却前の精算や、価格の引き下げにつながる。

特に3つ目は、売却を考えていなくても、日頃から整えておくべきことだと思います。会社を売る予定がなくても、整っている会社は、お客様や取引先からの信頼も厚いはずだからです。

ちなみに、うちの会社の「のれん」は、帳簿に載っていませんが、玄関の暖簾ほど、実在を確認できるものではありません。まず、暖簾のほうを、ちゃんと掛けるところから始めます。

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