ちょっとくらい美味しかったって行かないと思うけど。
ちょっとくらいまけてくれたって行かないと思うけど。
「IT一番戦略の実践と理論 長島淳治著」より
人通りの少ない場所に一軒のお店が建っています。看板はなく宣伝しているわけでもありません。店内には職人風の人が立っています。
恐る恐る店をのぞいて聞いてみると、どうも飲食店のようです。何が得意なのかと聞くと、何でもできると答えられました。
注文すると、レシピを調べ始め、材料を買いに出かけました。一心不乱に料理を作っています。でき上がりました。可もなく不可もなくといった感じでしょうか。味は普通です。
店員のサービスにも特に目立つところはありません。こちらの要望で値段は下がりました。あなたは、このお店の常連になろうと考えるでしょうか。
ドキッとするIT企業経営者もかなり多いことだろう。IT企業というと幅が広いが、大別するとGoogleやYahoo!に代表される所謂ネット系企業と、B2BのマーケットにおいてITを用いて業務改善を支援するSIer及びその下請けのソフトハウスの二つだ。後者に分類される、特に中小企業の大半は上記のような、「商品のない店」状態に陥っているのではないだろうか。
まさに、僕が再三口にしている「重層下請け構造が生み出す悪しき業界慣習」にどっぷり浸かりきっている状態だ。目先の金が必要なことも事実ではある。そのために鼻の先にぶら下げられた餌に飛びつかざるをえない時があるのも事実かも知れない。しかしながら、それを繰り返していても明るい未来は訪れない。
著者も言っているように、現在は「あなた(の会社)は何ができますか?」の問いに対する明確な回答を求められる時代なのだ。回答を持ち合わせていないものに対しては淘汰の波が押し寄せてくる。
人間誰しも一つや二つくらいいい所があるものだ。企業だって同じだ。その部分を早く認識すること。そしてその部分を如何に活用するかを考えること。もっと伸ばすことを考えること。
安直に目先の餌に食いついてはいけない。美味しそうな餌にあえて鼻を背け、もがき苦しみながらでも、這ってでも前に進まなければならない時代なのだ。

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